【自作小説】空と月と太陽と

自作小説

「空・月・太陽」という3つのキーワードから連想して書いた掌編小説です。

内容は、男女3人のちょっと切ない友情の物語。

分量が少ないのでサクッと読めます。

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空と月と太陽と

『空は言った。

「俺が全てを包み込んでやる」と。

月は言った。

「私はあなたを優しく照らしてあげる」と。

太陽は言った。

「仕方ねぇ。見守ってやるよ」と。

その会話を聞いて微笑ましいとばかりに、星々は優しく瞬いた。

その様子を見てからかうかの様に、冷たい風が吹いて行った』

「なかなか上出来な書き出しだな」

俺はノートパソコンの画面に浮かぶその文章を見て、一人満足していた。

椅子に背中を預けて天井を見上げる。

エアコンの低い唸りの様な駆動音の中に、外で蝉の鳴く音が僅かに聞こえた。

冷たい風が執筆で火照った頬に心地良い。

「はぁー……」

目を閉じて一つ溜め息をつく。

頬と同様に瞼も熱を持っているかの様に感じられた。

目の疲れからくるものなのか、それとも文章を書いている内に湧きあがって来る、ある種の感情によるものなのか。

そのどちらかなのかははっきりしない。

閉じた視界の中ある二人の姿が浮かんできた。

強気そうな顔の少年と、柔らかい表情をした少女。

お互い寄り添う様に立っていて、こちらを見つめている。

その二人とは、小学校の頃から高校生になった現在までよく遊んでいた。

数え切れないくらいたくさんの思い出が、浮かんでは消えて行く。

高校二年の頃、俺は恋をした。

『幼馴染』から『一人の少女』へと変わった瞬間でもあった。

でも、この三人の関係が崩れるのが怖くて、俺はその思いを中々言い出す事が出来なかった。

そんなある日。

二人が何やら複雑な表情を浮かべながら俺の元へとやってきた。

「俺達、付き合い始めたんだ」

頭が真っ白になった。

何も考えることが出来なかった。

今考えると、あの時どれ位ボーっとしていただろう。

やっと口から絞り出した言葉は「そうなんだ……」だった気がする。

いまいちはっきり覚えてないけど。

その時は内心悔しがっていた。

でも俺がどうこう言う権利が無いのは分かっていた。

「あいつら元気でやってるかな……」

一人呟くと閉じていた目を開き、再びパソコンへと向かった。

文章を打とうとしたのだが、指が動かない。

ふと、不安が込み上げてきた。

俺がこんなことをする資格は本当にあったのだろうか。

俺は趣味で以前から小説を書いているのだが、それを知ったあいつは「俺達三人の小説を書いてくれよ!」と言った。

それ以来俺は、俺達のありのままの姿の物語を書き始めた。

そして今日。俺達の物語は終わりを迎える。

「あっちの世界でゆっくり読んでくれよな」

言葉に出した直後、じわりと込み上げてきた涙が落ち滴が弾けた。

嗚咽を噛み殺し目尻を擦る。

この物語が二人の所まで届くようにと思いを込めながら、俺は最後の文章を打ち始めた。

『×月×日。

平岡空(そら)と三宮月(あかり)は遥か空の彼方へと旅立った。

どこに行っても、どんな事があっても、いつまでも仲良くしていてほしい。

そして俺を見守っていてほしい。それが俺の願い。

今は亡き親友に、祈りを込めてこの物語を捧ぐ。

end』

 

 

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