【マリン・もんもん・雪】という3つのリクエストキーワードで作った自作小説

文章関係

ツイッターでお題を頂いたので、小説を書いてみました。

その3つのキーワードが、

【マリン もんもん 雪】

というもの。

お時間のある方は、良ければ読んで下さると嬉しいです。

少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

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私の目に映るもの

「あ~~っ、もう上手くいかない!」

放課後の美術室。

夕日が差し込んでオレンジ色に染まった教室で一人、私は叫んだ。

イライラから頭を掻きむしり、深い溜息をつく。

肩まで伸びてしまった髪がぼさぼさになろうとも、今はどうでもいい。

「どうしよう……」

目の前にはキャンバスがある。

そこに広がるのはマリンブルーの海だ。

上空には入道雲が広がり、眩しい太陽が顔を覗かせている。

手前には砂浜があり、人々が楽しそうにはしゃいでいる様子を描いた絵だ。

他人がこの絵を見たら、完成していると思うだろう。

だが私は納得がいっていなかった。

授業が終わって美術室に来て、かれこれ1時間以上キャンバスと睨めっこしている。

もんもんとしたまま、時間だけが過ぎて行く。

コンクールの締め切りまで時間がないのに。

私は高校1年から美術部に所属しており、あっという間に3年生になってしまった。

大学受験の勉強などもあり、部活に割ける時間はみるみると減って行っている。

今日は本来なら部活は休みの日なのだが、他の部員がいないなら集中出来ると思い、こうして1人で苦悩しているのであった。

他の部員は優秀な子が多く、コンクールで賞を獲った人も多い。

そんな子達に「おめでとう」と笑顔で言ってきたが、実際心は笑えていなかった。

だって私は部長だ。

未だに賞を1つも取っていない。

なんて情けないんだろう。

そこまで考えた時、涙がこぼれそうになった。

ハンカチで目尻を拭って再びキャンバスに目を向けた時、私はびっくりして椅子から転げ落ちそうになった。

視界にキャンバスだけでなく、人がいたからだ。

「よっ」

という軽い挨拶とともに笑顔を向けてきたのは、同じ美術部員で3年生の藤倉という男子だ。

明るい性格で周りからの人気も高い。

「びっくりした~~! 今日は部活がない日なのにどうしたのよ?」

「ちょっと気になってね。最近元気ないみたいだし」

こいつは昔からそうだ。

藤倉とは小学校から同じなのだが、心を読み取るのが得意なのかいつも内面を見透かされてしまう。

でも不思議と嫌な気はしない。

落ち込んでいた時など、救われたことが何度もあった。

「絵が上手くいかなくて悩んでんの?」

また悩みを当てられてしまった。

「……そう。何か物足りなくて。オリジナリティを出したいんだけど上手く表現できないの」

「なるほどねー」

藤倉の口調は軽かったが、キャンバスを見つめる目は真剣だ。

それから数分が経っただろうか。

こちらを見つめてきて、藤倉は口を開いた。

「ありえない設定を足してみるのも面白いんじゃない? 例えばこんなのとか」

そう言うと、彼は近くのテーブルに置かれていた発泡スチロール(備品の荷物の梱包に使われていたのだろう)を手にすると、耳障りな音を立てながら手で砕き始めた。

やがて笑みを浮かべると

「ほらっ!」

と言うと同時に細かくなった発泡スチロールを空中に放り投げた。

するとそれは、ふわふわとした軌道を描きながら舞い落ちてきた。

夕日に照らされたそれらは、輝いて見えた。

「雪……みたい。綺麗」

何故だろう。私はそう呟いていた。

ただの発泡スチロールなのに。

今まで綺麗なんて感じたこともないのに。

だけれどそれは、確かに輝いていた。

藤倉が満足そうに笑顔を浮かべ、「じゃあな」

と言って私の肩を叩くと教室を出て行った。

その後ろ姿を見送り、私は思った。

あいつは励ましに来てくれたんだ。

思わず口が綻んでしまう。

優しさが嬉しかった。

「よし!」

と気合を入れると、私はキャンバスに向き直った。

藤倉からもらったアイデアを表現するために。

 

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